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【馬を知ろうよ!】シリーズ #2 馬の感覚機能
『馬を知ろうよ!』企画、第二弾は感覚機能について。
馬が外からの刺激をどう感じ取るのかがわかれば馬と接するときにとても役立ちます。ぜひ一緒に学んでいきましょう!
この記事はこちらの本の内容を参考にしています。
馬の視覚
まずは、馬の視覚についてです。
馬は、進化の過程で種々の感覚機能を、その生息環境にもっとも適応した形で発達させてきましたが、その中でも特に視覚は重要だと考えられています。
馬は、ひらけた草原を生息場所として進化してきたので主要な栄養源は草類であり、天敵は肉食獣でした。よって、水平方向に広い視野を持っています。
馬の眼球は、直径44〜48mmのゆがんだ球形をしていて、陸上動物では最大の部類に入ります。
瞳孔は横長に開いていて、かつ頭部の側面に眼球が位置しているので、水平方向に広い視野(330〜350°)を有しています。
また、鼻部の一部と頭部の後方が死角となっています。
また、左右それぞれの目で別のものを見ることができる単眼視という特徴もあって、約215°もの領域を片方の目だけで見ることができます。
動物は通常、水晶体の厚みを変えて遠近の調節をしていますが、馬は眼球の大きさに対して水晶体の厚さを変動させる筋肉が発達していません。おそらく焦点調節は、眼球の歪みを利用して行っていると考えられています。
このためなのか、馬は素早い焦点調節ができません。
また、色覚は存在しますが、色覚域は狭く、一般に黄、緑、青は知覚できますが、赤は若干劣ると考えられています。
馬の目の網膜の後ろ側にはタペタム(輝板)というものが存在し、光の刺激を2回受ける眼球構造となっているので暗いところでもある程度ものを見ることができます。タペタムは光の増幅装置なのです。
なので、夜に馬の瞳を見ると猫のように光っています。夜間放牧で元気に走り回っている馬がいますが、この目のおかげなんです。
馴致(じゅんち):一般にも使われる単語だが、馬術用語でもある。あらゆる事象に馬を慣れさせるための各種調教のこと。単に、新しい・珍しいものを見せるだけのこともあれば、トレーニングのことも指す。
新 馬の医学書
馬の聴覚
馬はとても音に敏感な生き物です。
馬は、耳まわりには10個程の発達した筋肉があり、まるでレーダーのように頭を動かさずとも、左右別々に耳を180°クルクルと動かして音源を聴くことができます。
馬の聴覚域は、ヒトよりやや高音域に偏っていて、ヒトは20kHzが聴き取れる限界値と言われているのに対し、馬は30kHzまで聴き取ることができます。低い周波数での聴力は人間に劣ります。
競馬で顔にメンコと呼ばれるマスクをつけている馬がいますが、あれはマスクで耳を覆うことにより周りの音を聞こえにくくして落ち着かせる効果があります。
馬の嗅覚
馬は嗅覚も非常に優れていて、仲間を識別したり、食べ物を見つけたりすることができます。
ヒトが近づくと鼻をすり寄せてきたりすることがありますが、これは嗅覚で人を認識しようとしているのです。
馬は帰巣本能が強いといわれるのですが、これも臭いを頼りにしているといわれています。
また、フレーメンと呼ばれる上唇をめくりあげる特有の表情をすることがあります。
フレーメンは、臭い刺激に対する反射的な行動で、雌雄関係なく示されますが、特にメスの発情期にその尿などを嗅いだオスに頻繁にみられます。
ちなみに、馬の鼻が大きいのは臭いに敏感なだけでではなく、馬は鼻でしか呼吸できないため、早く走るときなどは、走りながら空気をたくさん吸えるように鼻を大きく開きます。
馬が鼻からしか呼吸ができないのは咽喉頭部の構造が違うためです。
ヒトの場合、空気が鼻と口の両方から気管に入れる構造になっていますが、馬の場合は、何か物を飲み込むとき以外は鼻側と口側の交通を遮断しています。
この仕組みによって食べたものが気管支に入ることを防いでいるのです。
馬の味覚
馬は味覚も発達していて、食物のわずかな違いも判別します。
甘味を好み、苦味を嫌います。
ニンジンを食べているイメージが強いと思いますが、リンゴやバナナ、みかんを好む子などもいます。
馬は口の周りにあるヒゲのような触毛で、食べ物との距離感を測ったり食べ物を確かめたりしています。
それによって、飼い葉などの餌の中に薬などの苦いものが混じっていればそれをよけて餌だけを食べるというような器用なこともできます。
馬の触覚
馬に騎乗する上で、馬の触覚は非常に重要になってきます。
脚で圧迫して前進する、脚をズラして駈歩を出すなど騎乗者が馬に指示を出す時は、触覚を利用してコミュニケーションをとっています。特にお腹は馬にとって敏感な部分なので僅かな動きでも感じ取ることができます。
手綱の動きに目がいきがちですが、乗馬において基本となる扶助(ふじょ)は下半身の動きや全身のバランスによるものなんです(ハミ受けの話はある程度乗れるようになってからですね)。
扶助(ふじょ):乗馬・馬術において騎手が馬に合図や命令を伝えるため、また馬の動きを補助し、促すための動作。
夏場などには、ハエやアブなどが寄ってくると敏感に反応し、尻尾や肢などを使って追い払う様子が見られますが、あれだけ大きな身体をしているのに小さな虫が止まっただけですぐに反応するのは、やはり触覚がとても敏感だと言えるでしょう。
だからこそヒトと深く関わる高い能力を備えているわけですが、その分ふれあうときはしっかり信頼関係を築いて安心させてあげるようにしましょう。
次回は、馬の行動について!お楽しみに!!!
勉強になります!いつも有益情報ありがとうございます”(-“”-)”
コメントありがとうございます!励みになります。これからも頑張ります!!
[…] 次回は、馬の感覚機能について学んでいきましょう!お楽しみに!!! […]