【馬を知ろうよ!】シリーズ #3-1 馬の行動学(前編 群れと基本行動)

せシうだ
こんにちわ、せシうだ(@seshiuda6162)です。

(記事を読み始める前にこちらをどうぞ)

『馬を知ろうよ!』企画、第三弾は「馬の行動」についてです。

少し長くなるので、前編・後編に分けて解説していきます。前編である今回は、「群れ」と各種基本行動について。
後編では、馬同士やヒトとの関係性についての行動、異常行動などについてです。

ヒトと馬は、もちろん全く違う生き物ですが、その「行動」に注目するとより違いが鮮明になります。「そんなことするんだ!」と驚くような行動もたくさんあります。今回も一緒に勉強していきましょう!

※馬の行動は環境によって大きく異なります。全ての馬が同じ行動をするわけではなく、よく知られている行動パターンについて解説していきますのでその点はご了承ください。

目次

馬の「群れ」

野生下での社会構造

野生環境下では、1頭で生活する馬も観察されていますが、通常2種類のタイプの社会集団を形成することが知られています。

  1. ハレム:繁殖単位。1頭の性成熟した雄馬及び複数の成雌馬と3歳未満の子馬たち
  2. 若雄群:数頭の若い雌雄の馬や性成熟に達した雄馬

一般的に馬の群れはテリトリーを形成せず、水飲み場と広い採食地を含んだ行動圏(ホームレンジ)内で生活しています。
この範囲は、複数の群れで重なっていることが多いです。

群れ内の社会的順位としては、基本的に種雄馬がもっとも優位です。
また、成雌馬は、年齢の高い馬が優位な傾向があり、群れを先導するのも、年齢が高くハレムの帰属期間の長い雌馬の場合が多いです。子を持った雌馬は順位が上がることも観察されています。

種雄馬は、採食中や休息中、群れの周辺部にいて、移動の際は列の最後尾につくことが多いです。

ヒトの管理下における馬の社会構造

馬を放牧飼養する場合、性成熟の可能性が出てくる1歳時には、雌雄を別に飼養するのが一般的です。

野生下のような様子をうかがうことはできませんが、どんな群れの構成であっても群内の個体間には社会的順位が認められます。そして、馬の社会的順位は、威嚇および回避行動を観察することで比較的容易に判定することができます。

せシうだ
私の知っている競走馬の牧場では、放牧されていた馬が厩舎に帰されるときに、強い馬が出入り口付近に陣取って他の弱い馬を蹴散らしていました。(笑)

しかし、社会的順位の成立要因はあまり明らかになっておらず、体格や繁養場所での先住期間の長短などとの強い相関関係ははっきりわかっていません。

雌馬の場合、攻撃行動を活発に示すものほど優位になる傾向があり、母馬の社会的順位が高い子馬が同年齢群のなかで優位になる傾向も認められています。

あなた
ヒトでも、いつも怒っていると周りから怖がられて持ち上げられたりしますよね、、、

ちなみに、こうした群れで行動するという習性は、馬術の練習などでも利用されます。

部班(ぶはん)と言われる、何頭かの人馬で列を成して同じ内容に取り組む練習です。
先頭(最後尾にも上級者がいるとさらに安心)に上級者を配置し、後続の人馬がそれに続きます。まだ一人で馬を動かすのが難しい初心者は、この練習を通して感覚をつかみます(初心者の練習目的以外でも行われることはあります)。

部班練習の様子

群れを形成する動物だからなのか、馬は「つられて動く」ということが頻繁にあります。

例えば、馬場の中で乗馬の練習をしていて、一頭が放馬(極度に興奮した馬が乗り手を振り落としたりして走って逃げること)したとすると、それまで落ち着いていた別の馬たちも同時に暴れ出したりします。

せシうだ
馬を扱う人たちは、こういった習性もふまえた上で冷静に対応しなければいけませんね。

馬の採食行動

自然環境下で、馬は1日の10〜12時間を採食にあてます

馬は、丈の短い草を選択的に採食する傾向があります。
口唇で草をより分け、歯でハサミ、頭部を動かすことによって食いちぎります。こういった、食草行動は、短い草の採食にとても適しています。

馬の放牧地では、採食されずに草の繁茂した不食過繁地ができやすいですが、これはこうした食性などに起因すると考えられています。

馬の嗜好はかなり習慣的です。一般に、甘味を好み、酸味や苦味を嫌います。

一方、栄養価と嗜好性との間に相関関係は認められておらず、栄養価の高いものを好んで食べているわけではないようです。

濃厚飼料の給与によって、栄養量を落とさずに採食時間を大幅に減らすことは可能だが、この場合、定型的な異常行動であるさく癖(さくへき)等の悪癖を誘発することがある。これらの悪癖は採食時間が短いことやものを噛む衝動が満足されないことに起因すると考えられている。

また、食糞(動物が自分自身または他の個体や動物の糞を食べること)は子馬にみられる現象で、成長とともに減少しますが、成馬では繊維、タンパク質の不足、飢餓、飼料の急激な変化などの原因で食糞を示すことがあります。

馬の休息行動

馬が横たわったりして、しっかり寝る時間は、1日3時間ほどだと言われています。

しかし、1日のうちで何回かの休息期(まどろみ)があり、立ったまままどろむことができるため、そうした時間も含めると5〜6時間は睡眠にあてられていると考えることもできます。

馬の眠りにも、ヒトと同じように深さがあります。
馬は、「平均6.4分のノンレム睡眠期→ノンレム睡眠からレム睡眠への移行期→平均4.2分のレム睡眠期」からなる1サイクルが数回繰り返され、それが30〜40分継続します。

この1セットの眠りが主に夜間、6〜7回みられます。

草食動物なので、睡眠中も環境の変化に対して反応しやすいですが、特にノンレム睡眠→レム睡眠への移行期は刺激に対して敏感になります。

レム睡眠:浅い眠り。「からだの眠り」。急速な眼球運動を伴い、頻脈で呼吸数も増加する。横臥位とまれに腹臥位でみられる。
ノンレム睡眠:深い眠り。「脳の眠り」。ゆるやかな振動ののうはが現れる。立位及び腹臥位でみられる。

そもそも、馬がショートスリーパー気味なのは、1日の大半を食事時間に費やしているからだともいわれています。
馬は、牛のように反芻動物で「食べ貯める」ことができない(馬は単胃動物)ので、大きな身体を維持するために、野生下だと1日の3分の2、つまり16時間もを食事に費やします。

厩舎で飼われていると、決まった時間に給餌されるので、こうした時間のバランスは崩れますが、放牧された馬は日がな一日草を食んでいます。

食事に時間を費やさざるを得ないというのも、睡眠の短さに影響していると思われます。

ちなみに、馬が立ったまま寝ることができるのは脚の構造に理由があります。
休息姿勢をとったとき、四肢の各部の関節は骨と骨をつないでいる靱帯でしっかり固定されるため、筋肉の力に頼らずに立ち続けることができるのです。

また、生後3ヶ月齢までは、1日の約半分は休息ならびに睡眠にあてられています。

あなた
ヒトの赤ちゃんと同じですね!それにしても子馬の寝顔がかわいいです!
あなた
ところで、馬も夢って見るんですか??
せシうだ
はい、馬も夢を見ます。馬房の中で横たわって寝ている馬がときどき脚をバタバタ動かしていたりしますが、おそらく夢の中で走っているんでしょうね。

馬の排泄行動

一般的に、成馬の1日の排糞量は14〜23kgの範囲にあります。
また、排糞量・排糞頻度は、環境や年齢、性によって変化に富みますが、オスで1日平均12.8回、メスで6.5回程度とされています。

あなた
すごい量!
せシうだ
日本人の1日に出す便の量は約200gといわれているので多く感じますよね。ちなみにヒトも食生活によって量は大きく異なり、ヒトの胃で消化されにくい野菜などの食物繊維をよく摂取する国では500g以上になったりもします。

野生下では、ハレムの種雄馬が行動圏内にしばしば糞(ボロ)の堆積物をつくりますが、これは行動圏の重なる他の群との距離を時間的・空間的にずらす役割を果たしていると考えられています。また、若雄群では、もっとも優位な個体が最後に排糞する傾向も認められています。

馬糞(ボロ)は牛糞などと比べて硬めでずっしりとしている

排尿量や頻度も場合によるものの、摂取した水分の約22%が尿となり、頻度はオスが12.8回/日程度、メスが7.4回/日程度です。発情中のメスは、少量の尿を頻繁に排泄します。

せシうだ
今回はここまでです!野生種は絶滅してしまったので、本来の姿を知ることは難しいですが、行動原理を知ることは接する上で非常に大切ですね。
あなた
とっても面白かったです!

次回は、馬の行動学(後編)です!
今回は、単体での行動についてが多かったですが、次回は性行動や母子行動、コミュニケーションについてなど相互的な行動について解説していきます。お楽しみに!!!

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はじめまして、管理人のせシうだです。
好きなことは馬と農業です。

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